空き家・税制編
空き家3000万円特別控除
適用要件と申告のポイント
相続した空き家を売却する際、「被相続人居住用家屋等の譲渡所得3000万円特別控除」(通称:空き家3000万円控除)を活用すると、譲渡所得から最大3,000万円を控除でき、数百万円の節税が可能になります。
ただし、この特例には6つの厳格な適用要件があり、2027年12月31日までの期間限定制度です。本記事では、適用要件のチェックリスト・具体的な節税額シミュレーション・申告の流れ・買取業者との連携まで、関東1都6県で空き家買取を行う千歳不動産が解説します。
空き家3000万円控除とは?制度概要
空き家3000万円控除は、相続した実家(被相続人居住用家屋)を売却した際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。
正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(租税特別措置法35条3項)。2016年に創設され、2027年12月31日まで延長されている期間限定の優遇税制です。
| 項目 |
内容 |
| 正式名称 | 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例 |
| 控除額 | 最大3,000万円(相続人1人あたり) |
| 期限 | 2027年12月31日までの譲渡 |
| 譲渡対価の上限 | 1億円以下 |
| 適用条件 | 6つの厳格な要件(後述) |
⚠️ 譲渡所得税が大幅に節税できる
譲渡所得税(所得税+住民税)は所有期間により15.315%(短期:〜5年)または39.63%(長期:5年超)。3,000万円控除を活用すれば、最大1,200万円超の節税が可能です。
6つの適用要件チェックリスト
空き家3000万円控除を適用するには、以下の6つの要件をすべて満たす必要があります。
1
昭和56年5月31日以前に建築された家屋
対象物件は旧耐震基準時代に建築された家屋に限定されます。具体的には、昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された木造・鉄筋コンクリート造の住宅。マンションは原則対象外(区分所有建物を除外)。
2
区分所有建物登記がされた建物でない
マンション・分譲アパートなどの区分所有建物は対象外です。一戸建て住宅(マンションでない単独所有の家屋)が対象となります。テラスハウス・連棟住宅は要確認。
3
相続発生時、被相続人が一人で居住していた
相続発生直前まで、被相続人(亡くなった方)が一人で居住していた家屋であること。同居者がいた場合は対象外。ただし、要介護認定を受けて施設に入所していた場合は、特例的に「一人で居住していた」とみなされます。
4
相続後、賃貸・事業用に供されていない
相続が発生してから売却するまでの間、賃貸に出したり、事業用に使用したりしていないこと。空き家のまま維持されていたことが要件。一時的な使用も避けるべきです。
5
耐震基準適合 or 建物解体後の譲渡
次のいずれかの状態で譲渡する必要があります:
① 耐震基準に適合するよう耐震リフォームを実施
② 建物を解体して更地にした後に譲渡
※2024年からは買主による耐震リフォームでも可
6
2027年12月31日までの譲渡で1億円以下
譲渡期限は2027年12月31日(令和9年12月31日)まで。譲渡対価は1億円以下。複数回譲渡する場合の合計額が1億円を超えると、超えた部分について全額の特例適用が遡及的に取り消されます。
⚠️ 注意:相続から3年経過後の年末まで
適用要件には「相続発生から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」という時期要件もあります。例えば、2024年5月に相続した場合は、2027年12月31日までに譲渡する必要があります。2027年期限と相続から3年経過の早い方が適用期限となります。
具体的な節税額シミュレーション
空き家3000万円控除を適用した場合の具体的な節税額をシミュレーションします。
💰 シミュレーション(譲渡所得5,000万円・所有期間10年の場合)
| 控除なしの場合: |
| 譲渡所得 | 5,000万円 |
| 譲渡所得税(長期20.315%) | 1,015万円 |
| 空き家3000万円控除あり: |
| 譲渡所得 | 5,000万円 |
| 控除後(5,000-3,000) | 2,000万円 |
| 譲渡所得税(長期20.315%) | 406万円 |
| ★ 節税額 | 609万円 |
| 譲渡所得 |
控除なし税額 |
控除あり税額 |
節税額 |
| 2,000万円 | 406万円 | 0円 | 406万円 |
| 3,000万円 | 609万円 | 0円 | 609万円 |
| 5,000万円 | 1,015万円 | 406万円 | 609万円 |
| 1億円 | 2,031万円 | 1,422万円 | 609万円 |
⚠️ 数百万円規模の節税効果
譲渡所得が3,000万円以下なら全額非課税。3,000万円超でも最大609万円の節税が可能です。要件を満たす方は必ず活用すべき制度です。
耐震基準適合 or 建物解体
適用要件の中で実務的に重要なのが「耐震基準適合または建物解体」の条件です。3つの選択肢があります。
1
選択肢A:耐震リフォームを実施
耐震基準適合証明書を取得できる耐震リフォームを実施。費用相場は200万〜500万円。築古物件では大規模工事が必要で、コスト対効果が悪いケースが多いです。
2
選択肢B:建物を解体して更地で譲渡
建物を解体し、更地として譲渡。解体費用は木造80万〜200万円、鉄筋コンクリート150万〜400万円。固定資産税が3〜6倍になるリスクがありますが、解体後すぐ売却すれば短期間で済みます。
3
選択肢C:買主による耐震リフォーム(2024年新設)
2024年税制改正で追加された選択肢。買主が翌年2月15日までに耐震リフォームまたは解体を行えば、売主側で特例適用が可能に。買取業者を活用する場合に最適な選択肢です。
💡 買取業者活用なら選択肢Cが最適
2024年からは買主(買取業者)による耐震リフォームまたは解体でも特例適用が可能に。売主側は何も工事せず、現状買取でも空き家3000万円控除が使えるようになりました。当社では税理士・買取業者連携で適用判定からサポートします。
相続人の人数で控除額が変わるルール
空き家3000万円控除は相続人ごとに適用されますが、2024年税制改正で重要な変更があります。
2024年1月1日以後の譲渡については、相続人が3人以上の場合は1人あたりの控除額が2,000万円に減額されました(従来は人数に関係なく1人あたり3,000万円)。
| 相続人の人数 |
1人あたり控除額 |
合計控除額 |
| 1人 | 3,000万円 | 3,000万円 |
| 2人 | 3,000万円 | 6,000万円 |
| 3人以上(2024年改正) | 2,000万円 | 6,000万円(3人) |
💡 シミュレーション(譲渡所得5,000万円・相続人2人の場合)
- 相続人A(持分1/2):譲渡所得2,500万円 → 控除3,000万円 → 課税対象0円
- 相続人B(持分1/2):譲渡所得2,500万円 → 控除3,000万円 → 課税対象0円
- 合計節税額:約1,015万円(控除なしの税額)
申告の流れと必要書類
空き家3000万円控除を適用するには、譲渡した翌年に確定申告が必要です。
1
適用要件の事前確認
税理士または当社の連携税理士による無料判定で、6つの要件をすべて満たすか確認。譲渡前に確認するのが重要です。
2
「被相続人居住用家屋等確認書」の取得
物件所在地の市町村役場で、特例適用に必要な確認書を発行してもらいます。発行までに2〜3週間かかります。
3
耐震基準適合証明書 or 解体証明書
耐震リフォームをした場合は耐震基準適合証明書、解体した場合は建物滅失登記証明書を取得します。
4
確定申告書の作成
翌年2月16日〜3月15日に確定申告。譲渡所得の内訳書、特例適用の申告書、各種証明書を添付して提出します。
5
税務署への提出・納税(または還付)
確定申告書を税務署に提出。源泉徴収済みの場合は還付、不足分は納税します。
📋 必要書類リスト
- 被相続人居住用家屋等確認書(市町村発行)
- 耐震基準適合証明書 or 建物解体証明書
- 譲渡所得の内訳書
- 売買契約書のコピー
- 登記事項証明書(取得時・売却時)
- 被相続人の住民票除票
- 確定申告書本体
2027年期限と早期決断のメリット
空き家3000万円控除は2027年12月31日まで。期限が迫っているため、早めの決断が重要です。
📅 2027年12月期限のスケジュール感
| 2026年5月(今) | 期限まで約1年7ヶ月 |
| 2027年6月 | 期限まで半年(駆け込み需要で買取競争激化) |
| 2027年12月 | 期限ギリギリ(対応不可リスク) |
1
駆け込み需要による相場の不安定化
期限が近づくと売却物件が増えて、買取業者の選別が厳しくなる傾向。査定額が下がる可能性があります。早めに動くほど好条件で取引できます。
2
手続きには2〜6ヶ月かかる
相続登記・確認書取得・売買契約・決済・申告まで合計2〜6ヶ月。「2027年内に売却完了」を目指すなら、2027年6月までには動き出す必要があります。
3
延長されない可能性が高い
当初は2019年期限だった本特例は、これまで2回延長されています。ただし、2027年でさらに延長されるかは不透明。「延長前提」での先延ばしは危険です。
4
固定資産税の継続負担
空き家を放置する間も固定資産税が継続発生。特定空家指定で6倍になるリスクも。年数十万円の継続コストを考えると、早期決断が経済合理的です。
5
建物の劣化と資産価値下落
空き家は急速に劣化します。10年放置で資産価値が半減することも珍しくありません。早く売却するほど高値で取引できます。
買取業者と税理士連携の活用
空き家3000万円控除を確実に適用するには、買取業者と税理士の連携が最適です。
1
適用判定を無料で実施
当社の連携税理士が、6つの適用要件を事前に無料判定。譲渡前に確実に要件を満たすか確認できます。判定後にお断りいただいても費用は発生しません。
2
買主による耐震リフォーム対応
2024年新設の選択肢を活用。当社が買取後に耐震リフォームまたは解体を行い、売主側で特例適用が可能になります。売主は何も工事せず現状買取でOK。
3
必要書類の取得サポート
被相続人居住用家屋等確認書の取得、耐震基準適合証明書または解体証明書の手配など、必要書類をすべて当社・連携税理士が代行します。
4
確定申告の代行・サポート
翌年の確定申告は、連携税理士が代行します。譲渡所得の計算・特例適用の申告書作成・各種証明書の添付まで、お客様の負担をゼロに。
5
相続税との併用判定
空き家3000万円控除と相続税の取得費加算特例の併用判定もサポート。最も節税効果が高い組み合わせをご提案します。
千歳不動産の空き家買取は、空き家3000万円控除の活用サポートも込みです。連携税理士による無料判定から確定申告代行まで、トータルでお客様をサポート。詳しくは空き家買取の専門ページをご覧ください。
よくあるご質問
Q
実家がマンションです。空き家3000万円控除は使えますか?
A
いいえ、マンションなどの区分所有建物は対象外です。一戸建て住宅のみが対象となります。
Q
被相続人が老人ホームに入っていました。一人で居住していたとは言えませんが、それでも適用されますか?
A
一定の要件を満たせば、特例的に「一人で居住していた」とみなされます。要介護認定を受けて施設に入所しており、施設以外の場所に住んでいなかった等の条件があります。当社の連携税理士が判定します。
Q
相続後、しばらく賃貸に出していました。それでも適用されますか?
A
原則として適用されません。「相続後、賃貸・事業用に供されていない」ことが要件です。ただし、一時的な使用や短期間の貸与など、例外的に認められるケースもあります。具体的な状況をお伝えいただければ判定いたします。
Q
耐震リフォーム費用と控除額を比較したいです。どちらが得ですか?
A
一概には言えませんが、リフォーム費用200万〜500万円に対し節税効果は最大609万円。物件の状況によりますが、リフォーム費用が回収できないケースが多いです。2024年から買主による耐震リフォームでも適用可能になったため、買取業者を活用するのが最も効率的です。
Q
解体費用も控除の対象になりますか?
A
いいえ、解体費用は譲渡費用として控除されますが、3,000万円控除とは別枠です。譲渡所得の計算において「譲渡費用」として差し引かれます。
Q
相続人が複数いる場合、誰が確定申告するのですか?
A
相続人それぞれが、自分の持分について確定申告します。例えば相続人2人で1/2ずつ取得した場合、それぞれが譲渡所得2,500万円について申告し、3,000万円控除を適用します。
Q
2027年12月期限を過ぎたらどうなりますか?
A
空き家3000万円控除は適用できなくなります。譲渡所得全額に対して通常の譲渡所得税(15.315%または20.315%)が課税されます。期限延長の可能性はありますが、確実ではありません。
Q
税理士に頼まずに自分で確定申告できますか?
A
可能ですが、適用要件の判定・必要書類の準備・申告書の作成が複雑なため、税理士への依頼を強くおすすめします。当社では連携税理士による無料サポートをご提供します。
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