不動産・相続 用語集
相続不動産・訳あり物件の売却に関する専門用語を分かりやすく解説しています。
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A相続・税金関連
相続登記 (そうぞくとうき)
定義:被相続人(亡くなった方)が所有していた不動産を、相続人の名義に変更する登記手続きのこと。
2024年4月から相続登記が義務化され、相続発生後3年以内に登記しないと10万円以下の過料が課される可能性があります。手続きには戸籍収集・遺産分割協議書作成・登録免許税の納付などが必要で、司法書士に依頼するのが一般的です。費用は5〜15万円程度。
法定相続分 (ほうていそうぞくぶん)
定義:民法で定められている、各相続人が遺産を相続する割合のこと。
配偶者と子の場合は配偶者1/2・子全員で1/2、配偶者と直系尊属(親)の場合は配偶者2/3・親1/3、配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者3/4・兄弟姉妹1/4。遺言や遺産分割協議で異なる割合に変更可能ですが、合意がない場合の標準的な分配比率となります。
遺産分割協議 (いさんぶんかつきょうぎ)
定義:相続人全員で遺産の分け方を話し合って決める手続き。決定内容は「遺産分割協議書」に記載します。
遺言がない場合や、遺言と異なる分け方をしたい場合に必要。相続人全員の同意・実印・印鑑証明書が必要で、1人でも反対すれば成立しません。協議がまとまらない場合は家庭裁判所での調停・審判に移行します。
相続放棄 (そうぞくほうき)
定義:相続人が相続権を放棄し、最初から相続人でなかったことにする手続き。
負債が資産を上回る場合などに利用。相続を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。一度放棄するとプラスの財産も相続できず、撤回もできません。なお、放棄しても相続財産管理義務は次の相続人や財産管理人が決まるまで残ります。
取得費加算の特例 (しゅとくひかさんのとくれい)
定義:相続した不動産を相続税申告期限から3年以内に売却した場合、納付した相続税の一部を取得費に加算できる特例。
取得費が増えると譲渡所得が減るため、譲渡所得税の節税効果があります。相続税が高額だったケースで特に効果が大きく、相続税納税のために不動産を売却する場合の節税対策として有効です。利用には期限内売却と所定の申告が必要です。
小規模宅地等の特例 (しょうきぼたくちとうのとくれい)
定義:被相続人の自宅・事業用地などを相続する際、一定の要件を満たせば、相続税評価額を最大80%減額できる特例。
特定居住用宅地(自宅)は330㎡まで80%減、特定事業用宅地は400㎡まで80%減、貸付事業用宅地は200㎡まで50%減。配偶者や同居親族が要件を満たせば適用されますが、要件は厳格で、適用可否は税理士に相談するのが安全です。
路線価 (ろせんか)
定義:道路に面した土地1㎡あたりの評価額。相続税・贈与税の算定基準となる価額。
毎年7月に国税庁から公表され、市場価格(時価)の80%程度を目安に設定されます。「路線価図」で公開されており、誰でも閲覧可能。相続税評価額は「路線価×土地面積×補正率」で計算します。市場価格と乖離する場合があるため、売却価格の指標としては時価より低めに見るのが一般的です。
配偶者居住権 (はいぐうしゃきょじゅうけん)
定義:2020年4月施行の改正民法で創設された、配偶者が亡くなった被相続人の自宅に終身または一定期間住み続けられる権利。
所有権とは別の権利として設定されるため、所有権は子が相続しつつ、配偶者は住み続けられる仕組みです。配偶者の住居確保と相続財産の柔軟な分配を両立できる新しい選択肢。設定には遺産分割協議や遺言での指定が必要で、登記も推奨されます。
限定承認 (げんていしょうにん)
定義:相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務や遺贈を弁済することを留保して相続を承認する制度。
プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか不明な場合に有効です。相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所への申述が必要で、相続人全員での共同申述が原則。手続きが複雑なため、実際の利用件数は相続放棄に比べて極めて少ないのが実態です。利用には専門家への相談が必須となります。
代襲相続 (だいしゅうそうぞく)
定義:本来の相続人が相続開始以前に死亡している場合などに、その子(孫など)が代わって相続する制度。
民法887条で規定。被相続人の子が先に死亡している場合、その子(被相続人の孫)が代襲相続します。兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪までで止まりますが、直系卑属(子・孫)では再代襲(さらに下の世代への相続)も認められます。代襲相続人が複数いる場合、本来の相続人の取得分を頭割りで取得します。
数次相続 (すうじそうぞく)
定義:一次相続の遺産分割が未了のうちに、相続人の一人が死亡して二次相続が発生し、相続関係が複雑化した状態。
代を重ねるごとに共有者が増加し、長年放置された不動産では共有者が10〜20人に膨れ上がるケースも珍しくありません。連絡不能・所在不明の共有者が発生する典型例で、遺産分割協議が事実上困難になります。2024年4月施行の相続登記義務化により、こうした問題の予防が制度的に強化されました。
遺留分 (いりゅうぶん)
定義:一定範囲の相続人(配偶者・子・直系尊属)に法律上保障されている、最低限の遺産取得分のこと。
兄弟姉妹には遺留分は認められません。配偶者・子の遺留分は法定相続分の1/2、直系尊属のみの場合は1/3。遺言で遺留分を侵害された場合、遺留分侵害額請求権を行使可能です(2019年改正で物権的効果から金銭請求権に変更)。請求期限は侵害を知ってから1年、相続開始から10年。
譲渡所得税 (じょうとしょとくぜい)
定義:不動産などの資産を売却して得た利益(譲渡所得)に対して課される所得税・住民税。
計算式は「譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用」。所有期間5年超は長期譲渡所得(税率約20%)、5年以下は短期譲渡所得(税率約39%)。相続不動産の場合は「取得費加算の特例」「居住用財産3,000万円特別控除」「空き家3,000万円特別控除」などで節税可能です。譲渡所得が発生した翌年に確定申告が必要。
居住用財産3,000万円特別控除 (きょじゅうようざいさん3000まんえんとくべつこうじょ)
定義:マイホーム(居住用財産)を売却した際、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例。
所有期間に関わらず適用可能で、特別控除としては最大級の節税効果があります。居住しなくなってから3年経過後の年末までに売却することが主要要件。共有名義の場合は各共有者ごとに3,000万円控除可能。住宅ローン控除との併用には制限があり、確定申告が必要です。親族間売買では適用不可。
空き家3,000万円特別控除 (あきや3000まんえんとくべつこうじょ)
定義:被相続人が居住していた家屋(空き家)を相続人が売却した際、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例。
正式名は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」。1981年5月以前築の家屋・敷地が対象で、相続開始から3年経過の年末までに売却することが要件。家屋を耐震基準を満たすようリフォームするか、解体して更地で売却する必要があります。2024年から要件が一部緩和されました。空き家対策の中核的特例です。
配偶者の税額軽減 (はいぐうしゃのぜいがくけいげん)
定義:配偶者が相続した遺産の課税価格が「1億6,000万円」または「法定相続分」のいずれか多い金額まで、相続税が課税されない特例。
多くのケースで配偶者の相続税が実質ゼロになる強力な特例です。ただし、配偶者の二次相続時に税負担が大きくなる場合があるため、一次・二次を通算した長期的な節税戦略が重要となります。利用には相続税申告書の提出が必須で、遺産分割協議が完了している必要があります。
B訳あり物件・瑕疵関連
再建築不可物件 (さいけんちくふかぶっけん)
定義:建築基準法の接道義務を満たさず、現在の建物を取り壊すと新たな建物を建てられない土地。
建築基準法では、建築物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないと定められており、これを満たさない物件が再建築不可となります。市場価格は適法物件の30〜50%程度。隣地買い増し・43条但し書き申請等で再建築可能化を狙う方法もあります。
接道義務 (せつどうぎむ)
定義:建築基準法42条に定められた、建築物の敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないという義務。
緊急車両の進入・避難経路確保のための規定です。これを満たさない土地では新たな建築物が建てられず、再建築不可となります。古い住宅地では、現行接道義務が施行される前(1950年以前)に建てられた建物が法改正で接道義務違反となり、既存不適格状態にあるケースが多くあります。
既存不適格 (きそんふてきかく)
定義:建築当時は適法だったが、その後の法改正で現在の基準には不適合となった建物。違法建築とは異なります。
既存不適格は「建築当時は適法」のため法的保護があり、住み続けることに制限はありません。ただし、建替え・大規模リフォームの際は現行基準に従う必要があり、同規模で建てられない可能性があります。代表例:旧耐震基準の建物、現行接道義務違反の建物、建ぺい率・容積率規制強化後の建物。
違法建築 (いほうけんちく)
定義:建築当時から建築基準法に違反して建てられた建物。既存不適格とは異なります。
代表例:建ぺい率・容積率超過、建築確認申請なしの建物、無届増築、用途地域違反など。特定行政庁から是正命令を受けるリスクがあり、住宅ローン審査もほぼ通りません。市場価格は適法物件の30〜50%程度。是正可能か、買取に出すか、判断が必要です。
旧耐震/新耐震 (きゅうたいしん/しんたいしん)
定義:1981年6月1日以前の耐震基準が「旧耐震」、それ以降が「新耐震」。新耐震は震度6強〜7でも倒壊しない設計強度を求めます。
旧耐震物件は建物自体は合法に存続できますが、住宅ローン審査・地震保険・買主の不安要因として大きな影響があります。市場価格は同条件の新耐震物件の60〜80%程度。耐震改修工事には数百万円かかるケースもあり、現状買取の方が経済的な選択肢となることが多くあります。
心理的瑕疵 (しんりてきかし)
定義:物件で過去に発生した自殺・他殺・孤独死などの事象で、買主・借主に心理的抵抗感を与える事情のこと。
国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(2021年)で、原則として売買は告知期限なし、賃貸は3年が告知義務の目安と定められました。市場価格は同条件物件の50〜80%程度。事案内容・経過期間・買主の感受性で大きく変動します。
契約不適合責任 (けいやくふてきごうせきにん)
定義:2020年4月施行の改正民法で「瑕疵担保責任」に代わって導入された、売買契約と引き渡した物件の内容が一致しない場合の売主の責任。
買主は売主に対し、追完請求・代金減額請求・契約解除・損害賠償請求が可能です。仲介売却では2年程度の責任期間が一般的で、売主のリスクが大きい点が課題。訳あり物件専門業者の自社買取では契約不適合責任が免責されることが原則で、売却後の安心感が大きくなります。
告知義務 (こくちぎむ)
定義:不動産売買において、売主・仲介業者が買主に対し、物件の重要な事実を告知する義務。
対象:物理的瑕疵(雨漏り・シロアリ・アスベスト等)、法的瑕疵(違法建築・接道義務違反等)、心理的瑕疵(自殺・孤独死等)、環境瑕疵(隣家の騒音・悪臭等)。告知を怠ると契約不適合責任を問われ、契約解除・損害賠償の対象となります。判例では数百万〜数千万円の賠償が認められたケースもあります。
残置物 (ざんちぶつ)
定義:不動産売却時に、前所有者・前居住者が室内に残していった家具・家電・遺品などの物品。
通常の仲介売却では、売主が事前に処分してから引き渡すのが慣例で、業者依頼では10〜80万円の処分費がかかります。一方、訳あり物件専門業者の現状買取では、残置物そのままで売却可能。相続物件・空き家物件・遠方物件で特に活用される方法です。
特定空家 (とくていあきや)
定義:「空家等対策の推進に関する特別措置法」(2015年施行)に基づき、自治体が指定する管理が著しく不適切な空き家。
指定要件:倒壊・崩落の危険、衛生上有害、景観を著しく損なう、周辺生活環境を保全できない、のいずれか。指定されると住宅用地特例が解除され固定資産税が最大6倍、行政指導・修繕命令・撤去命令、最終的には行政代執行(費用は所有者負担)に進む可能性があります。早期対応が重要です。
物理的瑕疵 (ぶつりてきかし)
定義:不動産そのものに物理的な欠陥・不具合があり、通常の使用に支障をきたす状態のこと。
代表例:雨漏り、シロアリ被害、給排水管の腐食、外壁・基礎のひび割れ、アスベスト含有、地盤沈下、地中埋設物など。売却時には告知義務の対象となり、隠して売却すると契約不適合責任を問われるリスクがあります。瑕疵の4分類(物理的・心理的・法的・環境)のうち最も発見しやすい類型です。
環境瑕疵 (かんきょうかし)
定義:物件そのものではなく、周辺環境に起因する事情で、買主・借主の生活に支障をきたす可能性があるもの。
代表例:近隣の騒音(工場・線路・幹線道路)、悪臭(畜舎・ゴミ処理場)、振動、日照阻害、近隣の反社会勢力事務所、墓地・斎場の隣接、ゴミ屋敷の隣家、暴力団組事務所など。主観的な評価が分かれやすいため、告知義務の範囲は判例の蓄積で個別判断されます。仲介売却では事前申告が必須です。
法的瑕疵 (ほうてきかし)
定義:法律上の制限・違反があり、買主が当初予定していた利用ができない状態のこと。
代表例:違法建築(建ぺい率・容積率超過、無確認申請、用途地域違反)、再建築不可、接道義務違反、市街化調整区域での建築制限、借地権関係の制約、抵当権・差押え等の登記、文化財保護法の制限、農地法の制限など。住宅ローン審査が通らないケースが多く、市場価格に大きく影響します。買取に出すか専門業者に相談が現実的です。
シロアリ被害 (しろありひがい)
定義:シロアリが木造建築の柱・梁・床下などを食害し、建物の構造強度を低下させる被害のこと。
日本ではヤマトシロアリ・イエシロアリが主要種。被害が進行すると耐震性が著しく低下し、地震時の倒壊リスクが上昇します。駆除費用は20〜50万円、構造補修まで含めると100〜300万円に達することも。物理的瑕疵として告知義務の対象で、防蟻処理の履歴(5年保証が一般的)は購入時の重要情報となります。
雨漏り (あまもり)
定義:屋根・外壁・サッシなどから雨水が建物内部に侵入し、室内の天井・壁・床等にシミ・腐食を生じさせる状態のこと。
放置すると木部腐食・カビ発生・断熱材劣化・電気系統故障などの二次被害が発生。修繕費用は原因箇所により幅広く、屋根葺き替えなら100〜300万円、部分補修なら20〜80万円。物理的瑕疵として告知義務の対象で、過去の修繕履歴・現在の発生状況の説明が必要です。一度雨漏りした物件は再発リスクが高く評価されます。
アスベスト (あすべすと)
定義:耐熱性・断熱性に優れた天然繊維鉱物で、過去に建材として多用されたが、肺がん・中皮腫の原因となるため2006年に全面使用禁止となった有害物質。
2006年以前築の建物では含有可能性があり、屋根材(スレート瓦)・外壁材・断熱材・吹付け材などに使用されていました。2022年4月改正大気汚染防止法で解体・改修工事前のアスベスト事前調査が義務化。レベル1(吹付け材)の除去費用は数百万〜数千万円に達することも。物理的瑕疵として告知義務の対象です。
地中埋設物 (ちちゅうまいせつぶつ)
定義:土地の地中に埋まっている、本来あるべきでない物品。旧建物の基礎・浄化槽・井戸・ガラ(コンクリート片)・産業廃棄物などが該当。
古い住宅地・工場跡地・農地転用地で発見されることが多く、建替え時の掘削で初めて判明するケースが典型的。撤去費用は埋設物の種類・量・深さで大きく異なり、数十万円〜数百万円。土壌汚染を伴う場合は更に高額に。売主は知っていた埋設物について告知義務があり、隠して売却すると契約不適合責任を問われます。
地盤沈下 (じばんちんか)
定義:地盤が下方向に沈み込み、建物が傾いたり、基礎にひび割れ・段差が生じる現象のこと。
原因:軟弱地盤(粘土層・盛土)、地下水位の変動、地震・水害の影響など。傾きが6/1000(1m進んで6mm)を超えると居住性に支障が出るとされます。不同沈下(建物の一部だけ沈下)が特に深刻。修復には地盤改良・基礎補強で200〜800万円程度。物理的瑕疵として告知義務の対象で、ハザードマップでの軟弱地盤エリア確認が購入時の重要チェック項目です。
C借地・共有関連
借地権 (しゃくちけん)
定義:他人の土地を建物所有目的で使用する権利。建物は借地人の所有、土地は地主の所有。
借地借家法(旧借地法)で規律され、借地人保護が厚い特徴があります。借地人は地主に地代を支払い、土地上に建物を建てて居住します。借地権には旧法借地権・普通借地権・定期借地権の3つの主要種類があり、契約時期と内容で扱いが異なります。
旧法借地権 (きゅうほうしゃくちけん)
定義:1992年7月以前に成立した、旧借地法に基づく借地権。借地人保護が極めて厚いのが特徴。
地主は「正当事由」なく更新拒絶できず、事実上半永久的に土地を借り続けることが可能。下町や古い住宅地に多数存在します。新法に切り替わることはなく、契約更新があっても旧法の効力が継続します。
普通借地権 (ふつうしゃくちけん)
定義:1992年8月以降に成立した、借地借家法に基づく借地権。更新があるタイプの借地権。
契約期間は初回30年・更新後20年(初回更新)・以降10年が原則。地主は更新拒絶に「正当事由」が必要で、現実には立退料を支払って更新拒絶するケースが多い。旧法借地権と比べると地主側の権利がやや強化されましたが、借地人保護の基本構造は維持されています。
定期借地権 (ていきしゃくちけん)
定義:更新がなく、契約期間満了で確定的に終了する借地権。1992年の借地借家法で新設。
3種類:①一般定期借地権(50年以上、住宅可)、②建物譲渡特約付き借地権(30年以上、地主が建物を買い取る)、③事業用定期借地権(10〜50年、事業用のみ)。期間満了時には更地で返還が必要なため、残存期間が短いほど借地権価値が下がります。
底地 (そこち)
定義:借地人が建物を建てて使用している土地。地主が所有権を持つが、自由に使えない土地のこと。
地主は地代収入のみで、土地の使用権はありません。借地借家法による借地人保護が厚く、解約困難。市場価格は完全所有権の10〜30%程度に下がり、相続税評価額と実勢価格の乖離が大きい「負動産」になりやすい資産形態です。
地上権 (ちじょうけん)
定義:他人の土地を直接的・物権的に使用する権利。借地権より強力な権利。
民法上の物権で、賃借権(債権)である一般的な借地権と異なり、地主の承諾なく譲渡・転貸が可能です。設定登記もできるため第三者対抗力が強く、ローン担保にも使いやすい。ただし設定例は少なく、土地賃借権(借地権)の方が現実の取引では主流です。
借家権 (しゃっかけん)
定義:建物を借りる権利のこと。借地借家法で借家人保護が厚く規定されている。
賃貸人は正当事由なく更新拒絶できず、賃借人(入居者)の居住権が強く保護されます。賃貸中の物件(オーナーチェンジ)の売却では、買主は借家権を引き継ぐため、空室物件と比べて市場価格が低くなる傾向があります。立退料を支払って明渡しを実現するケースも多くあります。
譲渡承諾料 (じょうとしょうだくりょう)
定義:借地権を第三者に譲渡(売却)する際、借地人から地主に支払う対価。
法律上の決まりはなく慣行上の取引で、相場は借地権価格の10〜15%程度。借地権価格3000万円なら300〜450万円。地主の承諾を得るための事実上の対価となります。承諾が得られない場合は、裁判所への借地非訟手続きで承諾代諾を求めることも可能です。
立退料 (たちのきりょう)
定義:賃貸人が借家・借地の明渡しを求める際、正当事由を補完するために借家人・借地人に支払う金銭。
借地借家法の「正当事由」判断において、立退料の支払いは正当事由を補強する重要要素となります。相場は、借家の場合は賃料の6ヶ月〜2年分、借地の場合は借地権価格の30〜80%程度が目安。事業用の場合は営業補償も加算されるため、より高額になる傾向があります。
更新料 (こうしんりょう)
定義:借地・借家契約の更新時に、借主から貸主に支払う金銭。
法律上の義務ではなく、契約書に定めがある場合のみ支払い義務が生じる慣行上の取引です。借地の場合は更地価格の3〜5%・借地権価格の5〜10%程度、借家(住宅)は家賃の1〜2ヶ月分が相場。最高裁判例では、契約書に明記された合理的範囲内の更新料条項は有効と判断されています。
名義書換料 (めいぎかきかえりょう)
定義:借地権の相続・贈与等で借地人の名義が変わる際、地主に支払う対価。
譲渡承諾料が「借地権を第三者に売却」する際の対価であるのに対し、名義書換料は「同一家族内の名義変更」に支払う料金です。相場は借地権価格の5〜10%程度。なお、相続による名義変更の場合は地主の承諾は不要で、本来は名義書換料も不要ですが、慣行上請求されるケースもあります。
共有名義 (きょうゆうめいぎ)
定義:1つの不動産を複数の人が持分割合で所有している状態。相続・離婚・親子購入などで発生。
不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要(民法251条)。一方、自分の持分のみであれば1人で売却可能(民法206条)ですが、価格は単独所有の30〜50%程度に下がります。話し合いがまとまらない場合は共有物分割請求訴訟という最終手段があります。
持分 (もちぶん)
定義:共有名義の不動産において、各共有者が持つ所有権の割合のこと。
例:夫婦で1/2ずつ、兄弟3人で1/3ずつなど。各共有者は自分の持分を、他の共有者の同意なく自由に処分(売却・贈与等)できます(民法206条)。持分のみの売却は買主が限定的なため、価格は単独所有の30〜50%程度に下がる傾向があります。
共有物分割請求訴訟 (きょうゆうぶつぶんかつせいきゅうそしょう)
定義:共有者間の協議で分割できない場合に、裁判所に強制分割を求める訴訟(民法258条)。
判決により現物分割・代償分割・換価分割(競売)のいずれかで強制解決されます。確実な解決手段ですが、解決まで1〜3年、弁護士費用は50〜200万円、競売の場合は市場価格の60〜70%まで下がり、共有者間の関係は完全に破綻します。最終手段としての位置づけです。
D土地・建物関連
建ぺい率 (けんぺいりつ)
定義:敷地面積に対する建築面積(建物の真上から見た面積)の割合。用途地域ごとに上限が定められています。
例:敷地100㎡で建ぺい率60%なら、建築面積60㎡まで建てられます。第一種低層住居専用地域は30〜60%、商業地域は80%など。建ぺい率超過は違法建築となり、是正命令の対象。後付けで増築して超過したケースが特に多いため注意が必要です。
容積率 (ようせきりつ)
定義:敷地面積に対する延床面積(各階の床面積の合計)の割合。用途地域ごとに上限が定められています。
例:敷地100㎡で容積率200%なら、延床面積200㎡まで建てられます。第一種低層住居専用地域は50〜200%、商業地域は400〜1300%など。前面道路の幅員によって制限が掛かる場合があります(基準容積率より低くなる)。
用途地域 (ようとちいき)
定義:都市計画法に基づき、土地利用の用途を制限する区分。住居系・商業系・工業系の合計13種類。
代表例:第一種低層住居専用地域(住宅街・店舗の規模制限あり)、第一種中高層住居専用地域、商業地域、工業地域など。各用途地域では建ぺい率・容積率・建物用途・高さ制限が異なり、その地域に応じた建築物しか建てられません。用途地域違反は違法建築の対象となります。
旗竿地 (はたざおち)
定義:道路に接する細長い通路状の部分と、その奥にある広い建物部分が「旗竿」の形をした土地のこと。
建築基準法の接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接する)を満たすかが評価のカギ。通路部分の幅が2m未満なら再建築不可となります。日照・通風・防犯面で不利、車の出入りが困難、建築コストが高いなどの理由で、整形地と比べて市場価格は70〜85%程度に下がる傾向があります。
私道 (しどう)
定義:個人・法人が所有する道路。公道(国・自治体所有の道路)と異なり、所有者の管理下にある道路。
私道に接する土地は、通行権・掘削(上下水道工事)の同意が必要なケースがあり、所有者との関係が悪いと売却が困難になります。建築基準法上の道路に指定されている私道(位置指定道路・2項道路)であれば、接道義務を満たすため建築可能です。私道の所有権・共有持分の有無が物件評価の重要要素となります。
位置指定道路 (いちしていどうろ)
定義:建築基準法42条1項5号に基づき、特定行政庁が位置を指定した私道。
建築基準法上の道路として公的に認められているため、これに接する敷地は接道義務を満たすとみなされ、建築可能です。ミニ開発(数戸〜十数戸の宅地分譲)で造成される道路に多く、私道ながら建築基準法の道路として機能します。所有形態は分譲時の購入者全員の共有持分が一般的です。
2項道路 (にこうどうろ)
定義:建築基準法42条2項により道路とみなされる幅員4m未満の道路。「みなし道路」とも呼ばれる。
1950年の建築基準法施行時に、既に存在し人々が通行に利用していた幅員1.8〜4m未満の道。建築可能ですが、道路中心線から2m後退(セットバック)して建物を建てる必要があります。後退部分は道路扱いとなり、建ぺい率・容積率計算でも敷地面積に含まれません。古い住宅地に多く存在します。
43条但し書き (43じょうただしがき)
定義:建築基準法43条1項但し書きに基づく、接道義務を満たさない敷地でも特定行政庁の許可があれば建築可能とする例外規定。
2018年の法改正で「43条2項」に再編されました(認定・許可の2制度)。再建築不可物件の再生手段として注目されますが、申請には近隣の同意・建築審査会の同意が必要で、許可は1回限り。次の建替え時には再申請が必要となります。許可基準は自治体によって異なるため、事前相談が必須です。
市街化調整区域 (しがいかちょうせいくいき)
定義:都市計画法で「市街化を抑制すべき区域」として指定されたエリア。原則として新たな建築が制限される。
原則として住宅・店舗の新築は不可で、農林漁業者の住宅・既存集落の例外的建築・分家住宅等のみ許可されます。市街化区域に比べて市場価格は30〜50%程度に下がります。ただし、既存建物の建替えや、開発許可(都市計画法34条)に該当する用途であれば建築可能なケースもあります。
セットバック (せっとばっく)
定義:2項道路(幅員4m未満のみなし道路)に面する敷地で、道路中心線から2m後退して建物を建てる規制。
後退した部分は道路として扱われ、塀・建築物が建てられないだけでなく、建ぺい率・容積率の計算上も敷地面積から除外されます。結果として実質的に建てられる建物が小さくなり、敷地評価額も下がります。建替え時に初めて影響が顕在化するケースが多い点に注意が必要です。
越境 (えっきょう)
定義:塀・樹木・建物の一部・庇(ひさし)・エアコン室外機などが、隣地との境界線を越えて侵入している状態のこと。
古い住宅地では境界がはっきりせず、越境状態が長年放置されているケースが多く存在します。売却時には「越境物の覚書」を隣地所有者と取り交わし、将来の建替え時に解消する旨を確認するのが一般的です。買主の住宅ローン審査で問題視されるケースもあり、トラブルの原因となります。
境界未確定 (きょうかいみかくてい)
定義:隣地との境界が明確になっておらず、確定測量図(隣地所有者の立会いと署名捺印を経た図面)がない状態。
古い住宅地・農村部・相続物件で頻繁に発生する問題です。売却時に確定測量が必要となり、費用は30〜80万円・期間は3〜6ヶ月かかります。隣地所有者が遠方在住・所在不明・非協力的の場合は、確定測量自体が困難に。境界未確定のまま売却すると価格が下がるため、訳あり物件として現状買取に出すケースも多くあります。
専門用語が分からなくても大丈夫。
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